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サバイバルレース、今年も落合監督は沈黙

2009/03/20

 今年も落合監督に「沈黙の時」が訪れた。オープン戦が始まってから監督会見は行っていない。試合後は選手個々の評価を口にすることもない。開幕前のこの時期に、いや、この時期だからこそ指揮官は口を閉ざすのだ。昨年もそうだった。キャンプイン初日の2月1日に会見を行った後、徐々に口数が減る。そしてオープン戦が始まってからは一切、口を開かなくなる。今年も同じパターンだ。なぜか。その答えを公の場で説明したことがあった。3月5日、名古屋市内のホテルで「ドラゴンズ後援会総会」が催された。中部地区の財界人が集ったパーティーで落合監督はあいさつに立った。そして冒頭でこう言い放ったのだ。

「本日はこのような会を催していただきありがとうございます。ただ、せっかくですが、野球の話はしません。うちの選手は敏感なんです」

この言葉に場の空気は一瞬、張り詰めた。横に並んでいた選手たちの表情は一様に神妙になった。つまり監督がオープン戦の段階で選手の評価を口にすれば、それは報道を通じて選手の耳に入る。それによる心理的影響を考え、あえて口を閉ざしているのだ。中田、吉見、チェン、朝倉、小笠原らによるローテ争い。藤井、野本らによる中堅争い。ブランコ、デラロサ、パヤノらによる外国人枠争い。数あるポジション争いの最終結論が出るのは開幕1軍登録期限である3月31日なのだ。途中経過を知らされないサバイバルレース。選手たちは最後まで全力で走り切るしかない。そして、記者は最後まで取材と洞察を積み重ねるしかない。この緊張感がいい結果を生む。そう信じるからこそ、落合監督は沈黙するのだろう。(日刊スポーツ

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