打った人間の勢いそのままに、グングンと伸びた打球が左翼席に飛び込んだ。中日・藤井のバットの勢いが止まらない。１－２の５回、先頭打者で和田の２球目のストレートをジャストミート。オープン戦５号ソロは、並み居る長距離砲を抑え、１２球団単独トップとなる一発だった。

「飛距離とかどこに飛ぶかとかは“ボールに聞いてくれ”って感じで、とにかくしっかり振ることを考えています。結果が出ているんで、振れているんですかね」

至って謙虚に振り返るが、ここまで来ると「好調」の２文字だけでは片付けられない。打率・４５３、打点１３も単独トップでオープン戦３冠王をキープ。得点、塁打、長打率など、その他の多くの部門でも１位だ。

「数字はまったく気にしていません」

プロ４年目の正念場とあって慢心は最大の敵。ひたむきにアピールを続けている。新人だった０６年は開幕スタメン入りを果たしたが、ここ２年はやや伸び悩んだ印象は否めない。新人の年以来の両打ちにも挑戦する今季。ブレークの予感が漂い始めた。（スポーツニッポン）