中日のチェンは５安打、昨年９月２２日のヤクルト戦以来の完封で今季２勝目を飾り、

「自分の投球をしようと、しっかり腕を振った」

と胸を張った。直球は九回になっても１５０キロを超え、１００キロ台のカーブやスライダーの制球も抜群だった。六回までは１人の走者も出さない完ぺきな内容、許した初安打は七回の６６球目だった。先頭の石川に初球の甘い直球を左前に運ばれたが、２３歳の左腕は、

「ヒットが出てもしょうがないと思っていましたから」

と気落ちする様子は見せずに後続を断った。八回は連打を許すなど、終盤になって上体に力みが出た。本人が、

「九回も行くとは思わなかった」

と振り返ったように、最後を岩瀬に任せる策もあった。だが、森バッテリーチーフコーチが「チェンで行く方が勢いがつく」と続投を指示。九回一死一、三塁のピンチを切り抜け期待に応えた。負ければ最下位転落の窮地を救ったチェンは、

「シーズンは始まったばかり。目指すは優勝」

と頼もしかった。（サンケイスポーツ）