持ち味のド派手な一発はいらない。ただ、ジャストミートするだけ。打席のブランコの集中力は極限まで高まっていた。カウント２－１からの５球目。山口の外角高めの１５２キロを逆らわずにはじき返した打球が右前にはずんだ瞬間、全身で歓喜を爆発させた。

「厳しい状況だったけど、とにかく思い切って振ろうと思っていた。最高の気分だよ！」

延長１０回無死二、三塁からの劇的な一打で２試合連続のサヨナラ勝ち。前夜は攻守の要・井端、そしてこの日は主砲のバットがチームに勝利を呼び込んだ。あと１本がなかなか出ない打線だが、先発投手が踏ん張って紙一重で競り勝つ。そんな中日らしさがようやく出始めた。開幕からチームでただ１人、不動の打順で出続けている。昨年までの４番、ウッズに比べるとまだまだ“穴”も多いが、ひたむきさは日本の若手選手も真っ青だ。落合監督も、

「あれだけまじめな助っ人も珍しいな」

と話す。給料は昨年のウッズの２０分の１の約３０００万円。４月は苦しんだが打率・２８５、８発、２６打点と数字も格好がついてきた。

「ずっと４番においてくれている監督に感謝している。今まで１０年間やってきた中で、１年を通してプレーしたのは数年しかないから。未熟だけど頑張っていきたい」

横浜とはこれでナゴヤドームでは５戦全勝。この勢いで３連勝を決め、交流戦に臨みたい。（スポーツニッポン）