まだ、ぼやけている。しかし、遠くに巨人の背中が見えてきた。オレ竜がセ界の首位をピタリとマークしている。藤井が右手を高々と突き上げた。自身プロ初となる満塁弾。お立ち台では大声を張り上げた。

「なんとかしたかったので打ててよかった。打った後、満塁ホームランかどうかわからずに走っていました」

３点を追う六回一死満塁。下柳のスライダーを完ぺきにとらえた。左翼席に飛びこむ８号グランドスラム。これが決勝点となった。

「今シーズンは満塁で打てていなかったので、打ててよかったです」

２８歳、プロ４年目の伏兵の一発で、今季初の７連勝。しかも４試合連続の逆転勝ちだ。貯金も今季最多の「７」となった。先発の山井が１回２／３でノックアウトされながら、高橋－ネルソン－パヤノ－浅尾が八回までを無安打無失点でつなぎ、九回は岩瀬が締めた。

「中継ぎ陣がしっかり抑えてくれた」

と満足そうな笑みを浮かべた落合監督。竜の視界に２．５ゲーム差のツバメはいない。６．５ゲーム差の巨人とはこの週末、３日から本拠地ナゴヤドームで３連戦。ここでたたく。ヒタヒタと巨人を追い詰める。（サンケイスポーツ）