三塁側スタンドが激しく揺れた。兄の豪快なひと振りに、弟もフルスイングで続いた。ともに未体験の開幕１軍に「堂上ブラザーズ」が、必死のアーチ攻勢を仕掛けた。ハイライトは同点で迎えた８回だった。先頭の兄・剛裕が、金森のインハイの直球を右翼席に放り込んだ。「いいポイントで打てたんで、詰まってもスタンドまでいきましたね」と満足そうに振り返った。弟・直倫も負けていない。新井が四球で歩いた後、内寄りのカーブを左翼席へ。「狙ってはいないけど、自分も打てたらと思っていた」兄弟で放った、勝ち越し弾＆ダメ押し弾が落合竜にオープン戦初勝利をもたらした。兄弟による公式戦のアベック弾は１９８１年のレオン、リー（ロッテ）以来、生まれていない。ウエスタン・リーグでは２００７年７月８日の広島戦（由宇）でマークし、２月２０日の練習試合、対サムスン戦でも、ともにアーチを放った。同時に１軍入りしたことさえないが、このままアピールを続ければ、２８年ぶりの快挙への期待が高まってくる。「開幕まで１軍にいられるように毎日、アピールしていきたい」と兄が表情を引き締めれば、弟も「納得できるキャンプを送れました。今後も続けていきたい」と力を込めた。チームは２日に名古屋へ戻り、３日のロッテ戦（ナゴヤＤ）から１０連戦が幕を開ける。互いの存在をエネルギーに変えて、１軍へ生き残ってみせる。（スポーツ報知）