中日ファンにとっては、川井の投げる毎週日曜日は楽しくて仕方ないことだろう。川井はこの夜も白星をつかみ、無傷の１０勝目でリーグトップに並んだ。シャイな左腕は、

「野手の皆さんに打ってもらったおかげです」

と、気恥ずかしそうに声援を浴びた。右打者の手元で内に食い込む「真っスラ」と呼ばれるくせ球が、要所で効果的に決まった。一回２死三塁で迎えた村田、三回２死二塁で迎えた仁志は、ともにこの武器で詰まらせて三ゴロに仕留めた。

「当然相手も研究してくるが、今のところそれを上回っている。味方が点を取るまで我慢できている」

と谷繁。２点リードの七回に走者を２人出して救援を仰いだが、序盤のピンチをしのいだことが大きかった。好調な打線は四回に７試合連続となる先制点を挙げると、五回にブランコが左翼場外へ２ラン、八回には代打立浪が２点適時打と援護。チームは５連勝で、遠く思えた首位巨人の背中も３・５ゲーム差と近づいてきた。川井は、

「いいリズムに乗ってきた。一つずつ勝って、巨人に追いつきたい」

とナインの思いを代弁した。（サンケイスポーツ）